レストラン豆知識

世界の伝統的なお酒

アメリカ
Eggnog エッグノッグ
クリスマス時期によく飲まれる牛乳、ラム酒などのリキュール、クリーム、砂糖、溶き卵にシナモンとナツメグで味を付けた飲み物。
ブラジル
Cachaca カシャッサ
サトウキビの絞り汁を発酵して作られる蒸留酒で、世界でも多く消費される。またピンガ(Pinga)などとも呼ばれ、年中飲まれておりブラジルの若者にも人気がある。
イギリス
Mulled wine マルドワイン
赤ワインにクローブ、ナツメグ、シナモンといった香辛料と、柑橘類のフルーツ、お砂糖を入れたホットワイン。冬によく飲まれ、クリスマス時期が近づく11月中旬頃から街で見掛けるようになる。
エチオピア
Tej タッジ
ゲショと呼ばれる苦味つけの木の枝を煮出した汁と、蜂蜜とを混ぜ合わせて発酵させて造る蜂蜜酒。日頃からよく地元の人たちに親しまれている。
ギリシャ
Ouzo ウーゾ
ギリシャやキプロスで生産されている無色透明な八角と微量のカルダモンの香りがついた蒸留酒で食前酒とした飲む事が多い。
メキシコ
Pilque プルケ
マゲイと呼ばれる竜舌蘭の一種から抽出されたその樹液を発酵させた乳白色の甘い濁り酒。パイナップルなどのジュースと混ぜて飲む事も多く、地元の人には季節問わずよく飲まれる。
ノルウェー
Aquavit アクアビット
ジャガイモを主原料とした蒸留酒。ハーブとスパイス(キャラウェイ、フェンネルなど)で風味が付けてある。食事によく合うので、食中酒としても好まれる。
ペルー
Pisco Sour ピスコサワー
白ブドウの蒸留酒『ピスコ』とレモンジュースと卵白とシュガーシロップをシェイクし、シナモンやナツメグを軽く振った飲み物。レストランなどでは食前酒として出ることが多く、日頃からよく飲まれているお酒である。
スコットランド
Hot Toddy ホットトディ
ウイスキーやブランデーなどのアルコール飲料に、砂糖やシナモン、柑橘類を加えて温めた飲み物で冬の寒い日によく飲まれる。

ビールのお話

世界中どこの国でも愛されているビール。仕事の後に、きゅっと一杯冷えたビールを飲むのは至上の幸せ。ふだん何気なく飲んでいるビールですが、一言にビールと言っても味、色、アルコール度数までさまざま。そんなビールの分類から製造行程、魅力などをほんの少し集めたビールのお話。きっと、今までよりもっとビールが好きになるでしょう。
歴史
ビールの歴史は古く、最古のビールらしいレシピはメソポタミア文明(紀元前5千年)に見られます。当初はパンを雨に浸したまま発酵させたものだったらしく、ビールが今でも“飲むパン”と呼ばれる由縁です。現在のビールに近くなったのはホップが使われはじめてから。正式な記録では、紀元後768年にパリ郊外のサンドニ修道院で使われたのが最初とのこと。これら修道院こそがビールの発展を陰で支えた立て役者なのです。食事制限の厳しい宗教生活のなかで、また断食の際にも水分は取ることができたので、ビールが大事な栄養源としておおいに重宝されたのです。こうして9世紀の終わりまでには、ヨーロッパ中の修道院内にホップ園が広がっていきました。そして18世紀の終わりから19世紀の初めにかけて大革命が起こります。それまでのビールは16〜27度という高温で発酵するイーストを使用していたのに比べ、比較的気温の低いドイツにおいて、低温(5〜9度)で発酵するイーストが使用されるようになったのです。その結果、よりクリーンで臭みのない、味と香りのバランスがとれたラガーが誕生します。さらに、19世紀の中ごろにチェコでは切れ味の強い淡色ラガー、ピルスナーが登場します。今では日本、アメリカで生産されているビールのほとんどはラガーに属します。

ビールと健康
ビールは炭水化物、タンパク質、ビタミン、ミネラルなどをバランスよく含む栄養のある飲み物。利尿作用、食欲増進、便秘防止などの効用も認められています。また、ビールにかかせないホップには鎮静作用、安眠作用、抗菌作用、健胃作用などの薬理効果も。ただ、飲み過ぎは禁物。アルコールの過剰摂取は肝臓に負担をかけます。

おいしい飲み方
一番大事なのはやはり温度。なまぬるいビールは最悪ですが、かといって冷やしすぎもよくありません。ビールの種類と季節にもよりますが、適温はだいたい6〜8度で夏は低め、冬は少し高めにするといいでしょう。2〜3度以下になると濁りが生じ、さらにマイナスになると凍結してしまい、一度凍ってしまうともう飲むことはできません。次に大事なのが、泡の状態を左右する注ぎ方とグラス。グラスはまっすぐに置き、最初は静かに、次に少しスピードを出して泡を作ります。最後にまたゆっくりと調節しながら注ぎ終えます。また、ビールの注ぎ足しも禁物。ビールの酸化を防ぐ役割を持つ大事な泡がたたず、すでにぬるく炭酸のぬけたビールにいくらおいしいビールを注いでも、もうおいしさを取り戻すことはできません。グラスは、油分はおいしい泡の大敵なのできれいに洗ったものを冷蔵庫で冷やしておくのがベスト。ひんやり霜がついたグラスはビールが温まるのを防いでくれます。

種類
Ale エール
上面発酵(高温で発酵するイーストを使用)によるビールの総称。一般的にラガーよりもアルコール度数が高く、強い風味が特徴。 Amber Beer アンバービール
中間色のビール。カラメル麦芽を使用することにより、褐色の色が出る。ドイツのアルトビールなど。
Pale Ale ペールエール
淡色のエール。イギリスのバートン産を代表するビールで、アルコール度数が高く、酸味と苦味が強い。
Stout スタウト
アイルランドのギネスやイギリスのビターエールなど、濃色のエール。
ホップの使用が多いため苦味が強く、アル コール度数も高い。
Trappist Beer トラピストビール
トラピスト会修道士が語源。ベルギーの修道院で今も作られているアルコール度数の高い瓶ビール。
シメイ、オーヴァル、ウェストマルなど貴重価値が高く高価。
Wheat Beer 小麦ビール
小麦を多く含むビールで、多くは瓶詰めにされた後、さらにイーストを加えて発酵させるので酸味が強い。
ベルギーのランビック(木樽の中で3カ月〜4年発酵・熟成させる)や白ビールのホーガーデン、ドイツのワイツェンなどが有名。

Lagar ラガー
下面発酵(低温で発酵するイーストを使用)によるビールの総称。味と香りにバランスがとれ、クセがなく飲みやすいのが特徴。 American Beer アメリカンビール
アメリカの一般的ビール。軽くて苦味とコクが少なく、炭酸が強い。
Dark Lager ダークラガー
いわゆる黒ビールと称されるビール。ローストしたカラメル麦芽を使うので濃い色が生まれる。甘味とコクが強く、麦芽の風味も豊か。ドイツや東ヨーロッパで多数。ミュンヘンビールやボックビールなど。
Dry Beer ドライビール
糖分が少なく、軽くスッキリとした風味のピルスナー。
Ice Beer アイスビール
発酵後4度に冷やされ、ビールが氷片の間を漂うことに よって作られる、アルコール度数が高くスムースな味わいのビール。
Pilsener ピルスナー
淡色ラガー。チェコのピルゼン地方のビールでホップが強く、きめの細かい泡とまろやかな味。
Vienna Beer ウィーンビール
オーストリアに元を発する褐色のビール。今では南米やメキシコでも主流。


製造行程
原料(麦芽)→水を加えて加熱→調理された麦芽を取り出して更に加熱(麦芽汁の生成) →麦芽汁にホップを加え加熱→
冷ました後、イーストを加え発酵→涼しい場所で熟成→ろ過→瓶詰め→ラベル貼り→出荷

ウィスキーのお話

琥珀色の美しい姿と芳香な穀物の味わいを持つウィスキー。 ハードボイルドな男の酒というイメージが強く、クセの強い香りが苦手な人も多いようです。 けれど、一度その魅力を味わうと虜になってしまう、 そんな魔法も持った茶色い液体ウィスキーのお話です。
歴史
大麦やライ麦、とうもろこしなどの穀物を原料に発酵、蒸留、熟成させてできるウィスキー。蒸留酒ははるか10世紀以前、錬金術師が偶然に作り出し、その後ヨーロッパ全土に広がったと言われています。穀物を原料とするウィスキーが実際いつから作られていたのかは定かではありませんが、1171年にアイルランドのゲール人たちが大麦の蒸留酒を飲んでいたのが記録に残っているとか。これはゲール語で命の水を意味する「ウースカ・ベーハ UISGE BEATHA」と呼ばれていたもので、ウィスキーの語源と考えられています。今ではスコットランドやカナダ、アメリカも主な ウィスキーの産地です。

おいしい飲み方
先が細くなった小さめのチューリップ・グラスは香りを逃しにくくお薦め。まず少量のウィスキーを入れて、手で少し温めるようにグラスを回すと、ゆるやかにアロマが広がっていきます。ウィスキーの持つ味を最大限に楽しむにはストレートで飲むのが一番と言われますが、本場スコットランドでも少量のスプリング・ウォーターを加えるのが一般的。炭酸水やミネラル・ウォーターではなく、できるだけ フラットな水を使用しましょう(氷の場合でも同じ)。後は、照明や音楽など雰囲気 にも凝って、自分なりのおいしい飲み方を工夫してみてはいかがでしょう。

こぼれ話
樽の中で熟成させている間、 蒸発温度の違いにより年々 アルコール分が蒸発し量が 減っていきます。これをエンジェルズ・シェア(天使の分け前) と呼んでいます。

種類
Blended Scotch Whisky ブレンディッド・ スコッチ・ウィスキー
複数のモルト・ウィスキーにグレイン・ウィスキー(ライ麦、トウモロコシが原料)をブレンドしたもの。マイルドでクセも少なく万人向け。ウィスキーがスコットランドから世界に広まるのに貢献したと言えるでしょう。
Bourbon バーボン
ケンタッキーが主産地のアメリカを代表するウィスキー。独立戦争の際アメリカを応援したフランスのルイ16世に名誉を賞して、ブルボン王朝から名付けられました。とうもろこしを半分以上使った甘い味わいが特徴的。他のウィスキーとブレンドされていないものはストレート・バーボンと呼ばれています。
Malt Scotch whisky モルト・スコッチ・ウィスキー
スコットランドで蒸留、熟成(3年以上)、瓶詰めされたウィスキー。ピート炭で薫製した大麦麦芽(モルト)のみを使用するため、スモーキーな味わいが特徴。スコットランドの高原が育んだ大麦と滑らかな水を原料に、 今でも昔ながらの製法で丁寧に 作られています。香りも強く クセもかなりあります。
その他
熟成された味わいを持つテネシー産のサワー・マッシュ・ウィスキー、カナダ産の軽快な風味のウィスキー、まろやかな口当たりのアイリッシュ・ウィスキーなどがあります。


製造行程
大麦、 トウモロコシ、 ライ麦などの 穀物を発酵→蒸留 →樽に入れて熟成 (三〜二十年)→瓶詰め