スモール・クレームス・コート(小額裁判所制度)
アメリカでは裁判が日常茶飯事!それこそ家賃のことから、お金の貸し借りまでなんでも裁判に持ち込みます。日本人の感覚では、裁判はお金もかかるし時間もかかるというイメージが強いため、なんだか考えているだけで大変そうです。日本人を狙った犯罪なども増えてきている中、何かあったときに泣き寝入り、なんてことになる人が多いのではないでしょうか。いざとなったときのために、自分を守るために、心に留めておくと安心です。
スモール・クレームス・コートとは?
- スモール・クレームス・コートとは、民事起訴のための機関であり、小額なお金の絡む訴訟のみが行われます。最高起訴金額は10,000ドル。手間、時間、費用を最小限に抑えて起訴を起こすことができます。18歳以上なら誰でも手続きをする事ができ、プロセスも簡単。
- *現在の所、ネットでの電子ファイリングは行っていませんが、業者を通してであれば可能。スモール・クレームスコートのウェブサイトに利用出来る業者が記載されています。業者によって条件等に違いがあるので、内容をよく読んでファイルすることをお勧めします。
訴訟のプロセス
- 関連書類を用意し、被告の住む地域、又は職場のある地域の管轄のスモール・クレームス・コートに出向き、言い分を申し立てます(民間の業者がオンラインでの申し込みを受付)。
事務手数料は、訴訟金額が
1,000ドル未満なら15ドル
1,000ドル以上なら20ドル
になります。
このときに裁判所にいるボランティアの弁護士からアドバイスを受ける事もできます。弁護士については、個人的に雇う事もできますが、雇う必要は基本的にありません。
- 被告には後日起訴状と裁判の日程、大まかな概要が書かれた手紙が送付されます(原告にも同様の手紙が送付されます)。
裁判の前までに、原告は契約書、写真、領収書、明細書などの全ての必要書類を揃えておきます。
目撃者や第三者の証言が必要な場合は、連絡を取り出廷してもらう様に交渉します。
- 裁判は基本的に夜に行われますが、指定された時間に都合が付かない人は昼にも変更が可能です。
当日は、少なくとも30分前には必ず出廷してください。当事者が遅れると、その訴訟が取り下げられてしまったり、また、被告が遅れた場合は、さらに被告側の非が大きくなることもあり得ます。
- 示談
示談では、事前の調停人や裁判官による審問はなく、原告と被告がお互いに合意した支払い内容等を紙に書き出し、署名をします。多くの人が示談を選択していますが、その理由としては、裁判よりも早く結果が出ると同時に確実に解決できるからです。このとき結ばれた契約は、法律に基づいているため、よく契約内容を読み、間違えがないか、きちんとその契約書通りに出来るか等の、確認をしっかり行って下さい。
- 調停人
調停人とは、特別にトレーニングされた小額裁判の判決が出来る経験豊かな法律家のことです。調停人の良い点は、応対出来る調停人がたくさんいるため、早く原告の主張を伝える事が出来ることです。調停人は裁判官が用いるのと同じ法律が適用されますが、調停人の判決は公認記録がないため、上訴をすることは出来ません。しかし、調停人による裁判が録音されたものや、報告書などがあれば、証拠として裁判で上訴することが出来ます。
- 裁判官
裁判官による裁判を希望する際には、自分の名前が呼ばれた時、"BY THE COURT"と伝えます。裁判を希望した場合は裁判官に主張を聞いてもらうまで時間がかかったり、時にはその日中に裁判官に会えない場合もあります。その際は再度、別の日に出廷するか、代わりに調停人を選ぶ事になります。
審理の日に被告が現れず、原告が十分な証拠を提出した上、その主張が認められた場合には、勝訴となるケースもあります。