役立つ健康と医療の知識/催眠療法(ヒプノセラピー)とは?
催眠療法は心理カウンセリングの技法のひとつで、表面意識にとどまらず、心の深いレベルでのカウンセリングを可能にするものです。私たちは普段、顕在意識で生活しており、その”意識”世界では誰もが脳の5%程度しか使っていません。催眠療法とは”意識”の世界ではない”潜在意識”という世界に入り、脳の95%を使う事により行う心理療法です。
催眠療法においてまず知っておきたいのは、催眠における3つの原則です。催眠とは眠り(睡眠)とは違うこと。決して意識が無い状態ではないこと。ドラマなどで見られるように誰かの支配下に置かれるようなことはない、ということです。
人間の脳には、その人の人生におきた全ての情報が記憶されています。そのうちの大半は潜在意識の中にあり、顕在意識の世界の様々な感情と結びついています。潜在意識における怒りや悲しみ、トラウマなどのネガティブな感情はまるで見えない重しのように、日常での精神状態を知らず知らずのうちに底へと沈ませ、普段の生活の人間関係に支障をきたしたり、精神の不安定を招く原因になったりします。
催眠療法の目的は、心の中を整理したり心の傷を癒すことにより、より良い精神状態を手に入れ、自分の夢や生きる目的を認識し、それに向かって努力する自分を見つけ、望む未来を手に入れる力を養うことにあります。
また、催眠療法では、脳が顕在意識下より100万倍早く情報を処理できる良好な状態にあるので、従来の心療治療法に比べその効果や持続性が高いと言われています。そして治療の効果を早く実感できるのも特徴の一つです。例えば、現在抱える問題の原因が一つの場合、「自分を変える」という強い意志と催眠療法士の信頼関係がしっかりしていれば、通常、数回のセッションを行うだけで原因を取り除き、症状の改善や、目標を達成することが可能です。
ケース1:慢性疲労
若い男性の学生さんです。生気がなく、何をするにも元気がなく立っているのも嫌だという感じでした。
まず一度目のセッションで幼児退行療法を行いました。幼児退行療法とは、催眠下で過去にさかのぼり、現在の問題となっている原因をつきとめ、根本的な解決の糸口を見つける手法です。
過去にさかのぼった彼は、ぜんそくを患っていて息が出来ないと訴えました。現在の彼はぜんそくではないのだから息は出来るはずですが、どう言うわけか息が出来ない、という感覚が彼の中に強く残っていて、何かのきっかけでそれが出てきたようです。それが彼を疲れさせていた原因だったのです。
催眠療法により、息ができず苦しかったトラウマを解消したところ、数日後に、彼に再会した時には目に力があり、すっかり見違えてしまうほどでした。その後、元の状態にもどらないように感情や姿勢のコントロールなど、毎日の生活に活用出来る事をセッションに取り入れてセラピーを行いました。現在では慢性的な疲労感もなくなり、元気に学生生活を送っています。
ケース2:うつ
若い女性で話を聞くとすごく落ち込んでいるようで、死にたい気持ちがあると泣いていました。
二度目のセッションで幼児退行療法を行うと、セッション中に爆発的な怒りを見せました。怒りや恨みや恥などの否定的な感情は、長年持っていることにより心身ともに疲労させていきますので、まず催眠療法により否定的な感情を浄化するセラピーを行いました。
この女性は精神的な虐待を沢山経験してきた非常に辛い子供時代を送っていたので、こうした負の感情をたくさん持っていました。全ての否定的感情を浄化したところで二度目のセッションは終了となりました。
数日後、彼女が再びクリニックに来た時には、会話をする感じも軽く、幸せそうな感じも見受けられました。その時の状態を明確にする為に10を最も良い状態として0から10までの段階で評価してもらうと、セッション前が0で現在が6という事でした。
催眠療法の一環として、治療の効果が持続するように、その人の最も前向きな感情とある動作を結びつけて、その動作をすると前向きな感情が出てくるような反射システムを組んでおくことがよくあります。そうすることで、次第にふさぎがちだった感情を前向きに維持することが簡単にできるようになってくるのです。また、催眠療法により改善が見られた場合でも、従来の悪癖が出てくることによって元の状態に戻ってしまうということがあり得るので、この方法を使い逆戻りの予防に役立てます。
この後、彼女には成功する為の心の持ち方や感情のコントロール、軽い自己催眠と言ったような日常で使えるテクニックを学んでもらいました。現在でも精神的に良好な状態で、いろいろなことが前向きに考えられるようになっています。
催眠療法はアメリカではすでに効果的な心理療法として知られ、多くの人が精神的に疲労している時や心身ともに調子がすぐれない時などに気軽に利用しています。 心理療法自体が日本人にはまだ馴染みが少ないものですが、もし長いあいだ気持ちが晴れなかったり、感情のコントロールがうまくできなかったり、またダイエットや禁煙などの日常の悩みがあったり、自分を変えてみたいと思う時があれば、催眠療法を試してみてはいかがでしょうか。
催眠療法はアメリカではすでに効果的な心理療法として知られ、多くの人が精神的に疲労している時や心身ともに調子がすぐれない時などに気軽に利用しています。 心理療法自体が日本人にはまだ馴染みが少ないものですが、もし長いあいだ気持ちが晴れなかったり、感情のコントロールがうまくできなかったり、またダイエットや禁煙などの日常の悩みがあったり、自分を変えてみたいと思う時があれば、催眠療法を試してみてはいかがでしょうか。
取材協力
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